イケメンSPに守られることになったんですが。


たしかに今までの場面より、他の一般人の姿が多い。まだ逃げ遅れている人がいないか他のSPが探しているくらいだ。


そりゃあ絶対に巻き込みたくはないけど、あれだけの射撃の腕を持っているにも関わらず、武器を持った人に素手で立ち向かうなんて……。



「かっこいいよねー、高浜さん。ほれちゃった?」


「な、な……ッ!!」


「あ、やばい」



大西さんが、しっと息を吐いて、私の頭をさらに下に押し込めた。


──バン!!



「ひゃうっ!!」



さっきとは別の銃声が、遠くからしたのだ。



「違うピストルの匂いがする。新手だ」



えええええっ、細かい金属の違いがニオイでわかるの!?


大西さん、犬よりすごいんじゃ……。


って、そんなこと言ってる場合じゃないよ!!


私はレジ台の隙間から、一生懸命亮司さんの様子をうかがおうとする。


大西さんの雰囲気から察するに、まだ無事みたいだけど……。


そのとき、間近にいる大西さんの耳につけられたイヤホンから、音が漏れてきた。




『買い物客、従業員、全員避難完了』



新城さんの声だ。




「了解」



返事をしたのは大西さんと……そして。



「遅えんだよ。待ちくたびれたぜ」



やっと一般人を巻き込む心配がなくなって拳銃を握った、リョウさんだった。


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