イケメンSPに守られることになったんですが。


「大西、コレ頼んだ」



リョウさんはみぞおちを殴られて気絶した男を、こちらに放り投げる。


そして身軽になると、とん、と地を蹴り、レジ台に着地した。



「どこから狙撃してきやがった?」



そう言い、銃を両手で構えたまま店中を見渡す。


言わずもがな、スーパーは陳列棚が並んでいるわけだから、その影に誰かが隠れてこちらを狙っているんだ。


横にいた大西さんが、鼻をふんふん鳴らす。



「高浜さん、複数います!移動しながら機会をうかがっています!」



えーっ、そんなんもわかるのー!?



「お前、俺をだれだと思ってんだ。
それくらい、見えてんだ……よっと!!」



──バン!!


銃声がしたと同時、リョウさんはレジ台からジャンプし、特売のために積んであったトイレットペーパーの山の上に着地。


パキイン、とサッカー台の後のガラスに、避けた流れ弾が突き刺さった。


リョウさんは陳列棚を透かして見てるんだ。


わたしたちには見えない敵を、自分だけで把握している。



「そこだ!!」



──ぶわっ。


リョウさんはトイレットペーパーの上から、常人離れした跳躍力ですぐそばの陳列棚の上に飛び乗った。


翻ったロングコートが腰につくより早く、青果コーナーに向かって弾丸を放つ。


隠れながらかろうじて見えるように、私と大西さんはサービスカウンターの角、雑誌の棚の後に伏せながら移動した。




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