イケメンSPに守られることになったんですが。


「うわっ、バカ!!」



悲鳴をあげた私に、大西さんが一言。



「そこにいるぞ!!」



鮮魚コーナーから、敵の声がした。


悲鳴をあげたせいで、見つかっちゃったんだ。


気づいても、もう遅い。


私の前に大西さんが立ち、拳銃を構える。


青果コーナーから、鮮魚コーナーから、そして全然気配を感じなかった反対側のパンコーナーから、一斉にテロリストたちがこちらへ向かってくる。


どうしよう……全員に発砲されたら、大西さんも私もジ・エンドだ。


でも私はガクガクと震える膝を、どうすることもできなかった。


テロリストたちの指が、引き金を引く瞬間……。



「この……っ、クソテロリストがあああああああ!!」



地鳴りみたいな低い怒号が、頭のうしろで響き、黒い獣が私達の前に躍り出た。


違う。大きな黒い獣に見えたそれは、私のSP……リョウさんだった。



「誰のマルタイに手ぇ出してるか、わかってんのか!!」



ーーバン、バン、バンッ!!


3発連続した発砲音が間近でして、耳に痛みが走る。


両耳を押さえたまま、恐る恐る目を開けると……。


テロリストたちが全員、ゆっくりとその場に倒れていった。


助かったんだ……!



「高浜さん!!」



やっと応援のパトカーのサイレンが聞こえ、新城さんと矢作さんが店内に駆けてきた。


「おっせぇんだよ、クソガキども!」



リョウさんは赤く染まったままの横顔で怒鳴った。





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