イケメンSPに守られることになったんですが。
「リョウさんっ!」
私はサービスカウンターを出て、リョウさんのそばへ駆け寄る。
「高浜さん、それ……」
大西さんが指差したのは、リョウさんの顔のあたり。
彼は赤く染まった顔の左半分を忌々しげにコートの袖でぬぐい、ぺっぺとつばを床に吐いた。
「へたくそが……おかげで口と目に入っちまったじゃねえか」
は?
入ったって、何が……。
ぽかんとする私の肩を、後から大西さんが叩く。
彼が指差した方を見ると、青果コーナーでトマトがぐちゃぐちゃにつぶれていた。
爆発したようにも見えるそれは、敵がリョウさんを撃とうとして失敗した流れ弾に当たってしまったんだろう。可哀想に。
って、そうじゃない!!
血だと思ったのがトマトの汁だったなんて!!
「俺はトマトとオカマが死ぬほど嫌いなんだよ」
リョウさんは吐き捨てるように言った。
「うっ……」
「ああ?」
「うわあああああああん!!」
「ちょっ……」
良かった、良かったよぉ……!
赤く染まったリョウさんを見たとき、心臓が止まるかと思った。
もしかしたら、死んでしまうのかと思った。