イケメンSPに守られることになったんですが。


結局、お昼は牛丼だった。


いつ襲撃されるかわからないから、車の中でささっと済ませ、服を買いにいく。


連れて来られたのは、ある百貨店だった。



「げー……」



人が、多い。


こんなところで買い物なんかしたことない私は、すぐに緊張してしまった。


よく見れば冬物セール中みたいで、どのテナントにも『20%off』などというポップが飾られている。


渦巻く人の欲望と、人工の色の洪水に巻かれ、途端に手のひらが汗ばんできた。


小刻みに、指先が震える。



「…………」



もしかしてこれ、病気の症状の一種なのかな。


なかなか歩みを進めない私を、亮司さんがのぞきこむ。



「どうかしましたか?」


「……人が多くて、怖いです……」



私は素直にそう答えた。


あ、あの女性二人組、今こっち向いて笑った。


かっこよくて大人の亮司さんの横に、安いダウンジャケットの小娘がいるから?


単に、私がブサイクだから?



「…………」



そんなはずない。


誰も、それほど他人に注目しているはずがない。


わかっているのに、人の目が怖い……。



「ふむ。わかりました」



亮司さんは詳しくは聞かずに、うなずいてくれた。


ああ、帰れる……そう思ったのに……。



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