イケメンSPに守られることになったんですが。


「ありがとうございました。このご恩は必ずお返しします」



またもや亮司さんのカードで支払いを済ませた私は、彼に頭を下げる。



「いえいえ。小説が売れたら利子をつけて返してくださいね、中園先生」



亮司さんは冗談ぽく言って、私の手からワンピースが入った紙袋を奪った。


それくらい持てるんだけど、私は彼の好意に甘えることにする。


ちょっとだけでも、『大事にされてる感』を味わっておこう……。


今日だけ。


ううん、事件が解決するまでは……。



「あのう、すみません。私、お手洗いに……」


「はい。行ってらっしゃい」



さすがに女子トイレまではSPもついて来られない。


表示があったところで別れると、途端に後悔した。


トイレは表示があった通路の入り口からテナントの裏を通り、20メートルほど距離があった。


でも、こんなところまでついて来いとは言えないしな……。


亮司さんのことだから、通路までは透視で見張っていてくれるはず。


きっと大丈夫だ。


早く済ませて戻ろう。


ちらちら後ろを見ながら歩いていると、背の大きな痩せた女の人が私を追い越し、先にトイレに入っていった。


その手には大きな紙袋。


冬物バーゲン中だもんね……たくさん買ったのかな。


黒いコートとタイトスカートを着た茶色のロングヘアのその人の後姿をぼんやり見ながら、トイレに入っていった。



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