イケメンSPに守られることになったんですが。
「手を上げろ」
カズヤの後ろから、低い声が響いた。
「……リョウさんっ……」
「SPか」
カズヤが後ろを振り向くと、背が小さいために見えなかったトイレの入り口に、リョウさんがいつの間にか銃を構えて立っていた。
あたしたちとリョウさんの距離、おおよそ2メートル。
いっぱいに伸ばされたリュウさんの長い腕。
銃口はもう少しでカズヤの後頭部に届きそうだった。
「武器を捨てて、そいつをこちらに渡せ」
「そうはいくか!」
カズヤは私の腕をひっぱり、リョウさんの方に振り向くと同時に、まるで盾のように私の体を前に出す。
首元にナイフを突きつけると、リョウさんに怒鳴る。
「そこをどけ!
おかしなことをするなよ。
こいつを傷つけたくなければな」
「…………」
さすがのリョウさんも人質をとられれば、いうことを聞くしかない。
銃を持ったまま、フリーズする。
でも……どうして?
最初に会ったときも同じような状況だったのに、迷わず発砲したじゃない。
リョウさんの腕なら、カズヤのナイフだけを狙って撃つこともできるはず。
なのにどうして、今日はそうしないんだろう。
「ナイフを持ってきて正解だったぜ。
こんな弱い武器の相手に、警察が先に撃つわけにはいかねえもんな」
カズヤが笑う。
そうか、相手がナイフで、しかも攻撃してこない限りは、警察官から先に発砲することは許されない……。