イケメンSPに守られることになったんですが。
ここに来る前私が会ったのは、新城さんと大西さんだけ。
班長さん、矢作さん、篠田さんは作戦の準備で忙しくて、顔も見てない。
一応私の耳には、SPたちと同じ小型のイヤホンが付いていて、テロリストに悟られないように髪とマフラーで隠している。
そこから篠田さんの指示通りに町を歩いていた。
そうして小一時間ほど経ったとき、やっと事態が動いた。
ぶるぶると、コートのポケットでスマホが震えたんだ。
画面を見ると、知らない番号からの着信。
大西さんを見ると、彼は小型無線マイクで篠田さんの指示を仰ぐ。
するとイヤホンから、「出ろ」と篠田さんの声がした。
「はい……」
ハウリングを防ぐため、イヤホンをしていないほうの耳にスマホをあてる。
すると、そこから聞きなれた声が聞こえた。
『番号、変わってないんだな』
その、体躯の割には高くて細い声は……間違いなく、和也のものだった。
「……なに?」
私は冷静を装う。
『なに、じゃねえだろ。
あのメールはなんだ。
俺のところに行ってもいいって意思表示だろ?』
「…………」
『殺されるよりは、俺らの組織の広告を書いて生きていく方がいい。
そう思いついたか?』