イケメンSPに守られることになったんですが。
大西さんが犬並みに耳と鼻がきくと言っていたのはウソじゃないらしく、電話に耳を近づけなくても私たちの会話が聞こえているようだった。
うなずきながら、心配そうな顔で私を見つめる。
「……もしあんたの言うことを聞いたら、本当に私の命は助けてくれるんだよね?」
『俺らはウソはつかねえよ。
腐った政府や警察と同じにするな』
……いやいや、いくら崇高な思想を持っていようが、所詮テロリストじゃん。
ひとの書いた小説の架空テロ団体装って、色々しようとしてたくせに。
ツッコミたいことは山ほどあるけど、今はそれどころじゃない。
「今、どこにいるの?」
早くおびき出して、SPと警官隊に取り押さえてもらわなきゃ。
私は焦ってしまい、単刀直入に居場所を聞いた。
しかし……。
『言うわけねえだろ、そばにSPがいるのに。
今度のは前の大男と違って弱そうだな。
ホストでもやった方がいいんじゃねえのか?』
「……うっ……」
「大西さん、いちいち泣かないで!」
和也にも弱そうと言われて泣きかけた大西さんに、小声でツッコむ。
気にするところはそこじゃない。
私はスマホを持ったまま、背の高いビルが並ぶ町並みをぐるりと見回す。
大西さんの姿が見えているということは、どこかから監視されてるに違いない。