イケメンSPに守られることになったんですが。


名前を呼ぼうとしたのに、涙が出て鼻がつまって、おかしなことに。


どうして私はいつもこうマヌケなのか。


だけど、そんな私を彼は笑いはしなかった。


代わりに、私の目を見つめて……。


そっと、唇を合わせた。





……言葉は、いらなかった。


唇が触れる直前に一瞬見えた、彼の頬に……。


一筋の涙が流れているのを、見つけたから。





亮司さん……。


私が生きているのを見て、ほっとしたんだよね……。





ずっと、強い人だと思っていた。


俺はひとりで生きるのが合ってる、なんて宣言していたし。


力強い腕は、いつも私を守ってくれた。


時には優しく抱きしめて、温かい言葉をくれた。


……でも。


他人に優しいようでいて、最後の一歩が踏み出せなかったのは。


あなたも、臆病だったから。


自分をさらして、傷つくのが怖かったから。


そうでしょう?


私も、同じだもの……。



あなたもきっと、体の傷の数と同じくらい、悩んで泣いて苦しんできたんだよね……。






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