イケメンSPに守られることになったんですが。


私は亮司さんがかけてくれた背広に手を通し、ボタンを留める。


よし、これでだいぶ温かくなった!



「さあ、行きましょう……」



顔を上げると、なぜか亮司さんは鼻を押さえて顔を赤くしていた。



「……改めて見ると、これはこれで……」


「な、なんですか?」


「いや、うん、あー……いかんいかん。

脱出に集中しなくては」



亮司さんはぶるぶると首を横に振る。


ま、まさか……お父さんの服を着た子供みたいな私を見て……萌えたの?


32歳でやっと、『萌え』を理解したの?


っていうか、そんなこと考えてる場合じゃないってば!



「よし、行くぞ!

麻耶、俺の手を離すなよ。

もし危険に陥ったら、俺のことは気にせずに逃げること。

いいな?」



すっかりSPモードに戻った亮司さんは、私の右手を強くにぎる。


素直にうんとはうなずけないけれど……。


私は彼の手を、強く握り返した。



「……走れ!」



亮司さんの声が響き、私たちは地上へと走り出した。


< 367 / 438 >

この作品をシェア

pagetop