イケメンSPに守られることになったんですが。
私は亮司さんがかけてくれた背広に手を通し、ボタンを留める。
よし、これでだいぶ温かくなった!
「さあ、行きましょう……」
顔を上げると、なぜか亮司さんは鼻を押さえて顔を赤くしていた。
「……改めて見ると、これはこれで……」
「な、なんですか?」
「いや、うん、あー……いかんいかん。
脱出に集中しなくては」
亮司さんはぶるぶると首を横に振る。
ま、まさか……お父さんの服を着た子供みたいな私を見て……萌えたの?
32歳でやっと、『萌え』を理解したの?
っていうか、そんなこと考えてる場合じゃないってば!
「よし、行くぞ!
麻耶、俺の手を離すなよ。
もし危険に陥ったら、俺のことは気にせずに逃げること。
いいな?」
すっかりSPモードに戻った亮司さんは、私の右手を強くにぎる。
素直にうんとはうなずけないけれど……。
私は彼の手を、強く握り返した。
「……走れ!」
亮司さんの声が響き、私たちは地上へと走り出した。