イケメンSPに守られることになったんですが。


手を引かれるまま、冷たい廊下を裸足で走る。


鎖は切れたけど、手錠はまだ足についたままで、冷たいし重いし、痛い。


でも泣き言は言っていられない。


一階へ続く階段を上がると、亮司さんが迎えに来るときに倒したらしい敵が倒れていた。


その人を跨いで、出口……私は出口がどこか知らないけど、亮司さんが導くままに急ぐ。


山荘って言われたから、おしゃれなログハウスみたいなものを想像していた私は、驚いた。


ぐるりと見回すかぎり、ところどころシミができているような灰色の冷たい壁。


足元には変なワイン色のじゅうたん。


中学生の時に修学旅行で泊まった、安い旅館を思い出す。


そうだ、きっとそういうところなんだ。


曲がり角に来るたび、刑事ドラマみたいに立ち止まっては、少し顔を出して亮司さんが行く先に敵がいないか確認する。


私も同じようにしてみると、長い廊下の片側には壁、片側にはふすまでできた部屋の入り口が並んでいた。


やっぱり思ったとおりだ。


ここはけっこう広い旅館みたいなところらしい。


たぶん、もう使われなくなった旅館の跡なんだろう。



「人質が逃げたぞ!」



後方で声がして、ハッとする。


手錠の鎖を破壊したときの銃声で、誰かが私たちが逃げたあとの地下室へ行ったんだろう。



「ばれたか」



亮司さんは低い声で言うと、私をまっすぐ見つめた。





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