イケメンSPに守られることになったんですが。


そうやって、大事なものがたくさん増えていって……。


ある日突然、亮司さんがいなくなってしまったら?


それは明日起こるかもしれないこと。


亮司さんがSPである限り、それは覚悟しなければならないこと。


でも私には、そんな覚悟できない。


亮司さんを失ったら、泣いて泣いて泣いて、海に身を投げるだろう。


自分でも気持ち悪いけど、私はそういう突拍子もないことを平気でしてしまう女だもん。


大事なものをぜーんぶ置き去りにして、妊娠していようが、乳児の授乳中だろうが、私はぶっ壊れてしまう。



だから私は、何も返事をせずに、班長さんの前から走って逃げた。



ごめんなさい。



亮司さんは、きっと心配してくれる。



私が突然姿を消したら、それなりに胸を痛めてくれるだろう。



ごめんね。



私、まず強くなる。



薬とか紙袋とか頼らなくても、生きていけるくらいにはならないとね。



そうしないと、あなたの隣にはいられないもの。



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