イケメンSPに守られることになったんですが。


────案内されたのは、なんだか品の良いマンションの5階だった。


がくがく震えたままの私と荷物を一手に引き受けた亮司さんが、スーツからカードキーを取り出す。


玄関が開き、中に入った途端、私は崩れ落ちた。



「ふ、ふぉぉぉっ……」


「大丈夫ですか」


「だいじょばないです……」


「そうか、そうですよね……」



亮司さんが私の少しの荷物を置いたのが、突っ伏した視界に入った。


ああ、だめだ。


こんなところにいたら邪魔だ……


なんとか体を起こそうとすると、脳の命令より先に、身体がふわりと茶色の玄関マットから浮いた。


何コレ。背中と膝の裏に、妙な温かみが……。



「……ちょ……!?」


「すぐリビングですから」



目の前に、亮司さんの横顔があった。


そう。


私は荷物と同じように、運ばれようとしていた。


な、なんと、お姫様だっこで!!


< 78 / 438 >

この作品をシェア

pagetop