わたくし、政略結婚いたします!?
そして、夕方。
全ての授業を終えて、私は急いでサロンに向かう。
呼びだした側なのだし待たせては悪いと思って、早足に廊下を進む。
しかし、もう少しでサロンに着く、というところで、後ろからぐいっ、と誰かに腕を引かれた。
「きゃっ!」
思わずあがった短い悲鳴と共に、ポスっと身体が後ろに傾く。
びっくりして思わず瞑ってしまった目を開けると、上から私を見るレナルドとまっすぐに視線がぶつかった。
「び、びっくりした…。なに……?」
身体を離しながら訊くと、レナルドは掴んだ腕を離さないまま、今度は前から抱きしめてきた。
「なっ」
なになになに!?
いきなり何なの!?