わたくし、政略結婚いたします!?


私にできることなんてたかが知れてるけど。


でも、もし、近頃やけにひっついてくるのが、疲れのせいだったのなら。


私でも、彼の疲れを和らげることができるのなら。



……言ってくれたら、いくらでも触ってよかったのに。


もっと抱きしめてくれて、いいのに。


私は、そこで急にさっきのキスを思いだして、かあっと顔が熱くなった。


無意識のうちに、指で自分の唇に触れていた。



……ていうか、あんなふうに名前呼ばれたのも、初めてだし……。


まるで、大事な人の名前を呼ぶような、慈しむような、声だった。


レナルドの声が、胸に直接振動になって伝わるような気さえした。



「……う」


「レナルド!?」



ずっと眠ったままだったレナルドが微かな呻き声と共にゆっくり目を開けたのを見て、私は思わず椅子から身を乗り出していた。

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