わたくし、政略結婚いたします!?
やがてゆっくり唇を離したレナルドは、余韻にぼうっとしている私に微かに笑みを零すと、私の額に軽く口づけた。
「……悪い。熱あるのにこんなことして」
お前に移ったら笑えねーな、なんて軽口を叩くくらいには、元気になったようだ。
……だけど、もう私はそれどころじゃなくて。
「はい!水っ……」
「あ?ああ……」
立ちあがって水さしから水を汲み、コップを渡す。
レナルドはその勢いに面食らったような顔をしたけれど、大人しく受け取った。
「わ、私、もう行くわね…っ!」
「は?」
「エディ、呼んでくるから……!」
言うが早く、私はくるりと方向転換。
「おい!」
と背後で驚いたようにレナルドが引き止める声がしたけれど立ち止まらずに部屋を出て、勢いのままドアを閉めた。
そのまま、ずるずると背中をドアに付けたまま座り込んでしまう。