わたくし、政略結婚いたします!?
「へたくそなお前の相手をするほど俺は暇じゃない。さっさと行け」
「~~~っ!分かったわよ!!」
バンッ、と大きな音を立ててドアを閉めてやる。
物に当たるなんて自分らしくない。
なんでこんなにいらいらするんだろう。
どうにも収まらない怒りを抱えながら、私はダンスのレッスンのある部屋に入った。
すでに、フィリップ先生は部屋の中で待機していて、優雅にお茶なんか飲んでいた。
そのお茶の相手をしていたのは、見たことのない、男。
「アリア様、もう旦那様とのお話はお済みですか?」
カチャ、とティーカップを置いて先生は優しく微笑んだ。
柔らかな茶色い髪に、優しい口調。
飛びぬけて綺麗な容姿、というわけではなかったけれど、先生はふわりと綺麗に笑う。
その笑顔に心を撃ち抜かれる女性も多そうだ。