Sion




希愛の容姿は周りに比べれば大人っぽく、美しい。
色白の肌に大きな目の中にある茶色の瞳
茶色の軽くウェーブさせた長い髪




希愛は周りの目を惹きつける容姿を生まれ持っていた。
そして、儚い雰囲気を醸し出していた。
だがその雰囲気は他の者を寄せ付けない強さがあった。




そんな希愛に走り寄ってくる女の子がいた。
女の子は希愛の背中から腕を回し、抱きつく。




「希愛、おはよっ」




驚いた希愛は後ろを振り返る。
そして、女の子を見てふっと微笑んだ。




『律花、おはよう』




希愛は手話で挨拶をする。
律花と呼ばれた女の子は嬉しそうに笑顔を見せる。




「制服凄く似合ってる!希愛と同じ高校で良かったよ。また3年間、よろしくね」




彼女が希愛の唯一親友と呼べる友達だった。
その名を巴 律花(ともえ りつか)という。




小学校時代からの友人で、希愛を良く理解している。
そして希愛も、明るく気配りができる心優しい律花に心を開き、慕っていた。




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