Sion




律花の魅力は誰にでも好かれる性格と向日葵のような笑顔だ。
その笑顔に希愛は何度も励まされ、支えられてきた。




「希愛、さっきクラス表見たら同じだったよ。ふふっ、また希愛と一緒になれて嬉しい。3年間一緒だね」




この高校のクラス替えは無い。
入学した時から同じ教室で同じメンバーで過ごす。




希愛には嬉しかった。
自分と話してくれるのは律花以外におらず、心を開けるのは律花だけ。
何度もクラス替えをすれば、自分の思ったとおりにはならない。




だが、クラス替えがなければそんな心配はなくなる。
希愛は律花が傍にいて、同じクラスで過ごすことがとても嬉しく、幸いだった。




『私も嬉しい。律花、3年間よろしくね』




ニッコリと微笑むと、律花は嬉しそうに腕に力を込める。




「もぅ~希愛、可愛いっ」




圧迫されたお腹が少し苦しくて顔を歪める。
だけど、律花の顔を見るとそんな痛みさえ我慢できた。




律花は自分の心に素直だ。
嬉しいときは嬉しい、悲しいときは悲しい。
人の心に敏感でもある。





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