TABOO Ⅴ~零れそうな衝動~
「あれ?矢吹センセーどーしたの?司書さんと」
「お手伝いしてんだよ」
「えー優しー怪しー」
「はいはい、ほら配れ」
彼のおかげであっという間に配り終え、次へ向かおうとした時。
ふと強い視線を感じて顔を上げ、そのまま動けなくなる。
このクラスだったんだ…
窓側の1番後ろの席で、あたしを真っ直ぐに見つめてくる男子生徒。
そのまわりを派手な感じの女子達が取り囲み、仕切りに何かを話しかけていた。
サッカー部のエースで、学園のアイドル的存在。
そんなモテモテの男子が、どうしてあたしなんかに構うんだろう。
ベタベタされて楽しそうじゃん…
サッと目を逸らし、彼の背中を追って廊下に出た時だった。