TABOO Ⅴ~零れそうな衝動~


「あれ?矢吹センセーどーしたの?司書さんと」


「お手伝いしてんだよ」


「えー優しー怪しー」


「はいはい、ほら配れ」


彼のおかげであっという間に配り終え、次へ向かおうとした時。


ふと強い視線を感じて顔を上げ、そのまま動けなくなる。


このクラスだったんだ…


窓側の1番後ろの席で、あたしを真っ直ぐに見つめてくる男子生徒。


そのまわりを派手な感じの女子達が取り囲み、仕切りに何かを話しかけていた。


サッカー部のエースで、学園のアイドル的存在。


そんなモテモテの男子が、どうしてあたしなんかに構うんだろう。


ベタベタされて楽しそうじゃん…


サッと目を逸らし、彼の背中を追って廊下に出た時だった。


< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop