TABOO Ⅴ~零れそうな衝動~
「結衣」
初めて呼ばれた名前に、心臓が跳ねる。
振り返ると、再び真っ直ぐな視線で射抜かれた。
何を言うつもりなの…?
不安な気持ちで続きの言葉を待っていると、ふいに視線があたしの背後へと移った。そして、
「あ、ヒカル!」
立ち尽くすあたしの脇を通って、1人の女子が彼に駆け寄る。
そして無邪気に腕にしがみついたその子の長い髪を撫でる彼は、あたしに向ける意地悪なものとは全然違う、とても優しい目をしてた。