契約彼氏-ニセ彼氏-
高2の夏、私は交通事故に遭った。
怪我は全治3ヵ月。
骨盤は砕け、右股関節は脱臼した。
治療の結果、傷はある程度まで回復したが、股関節の変形は治らなかった。
だから歩く時、少しだけ右脚が跳ねたような感じになる。
それでもリハビリのために歩いていたら、すれ違った子供が私を指差して母親に言ったのだ。
あの―言葉を。
それから私は人前に出るのが怖くなった。
退院しても学校へ戻る勇気が出なかった。
学校ではそこそこ人気者だったから、余計惨めな姿をさらしたくはなかった。
「リハビリ施設の整った病院に通いたい。ここから通うのは大変だから、転校して病院の近くのアパートで1人暮らししたい」
そう言ったら、父親はあっけないほど簡単に許してくれた。
それからはマンションで1人暮らし。
学校へは行かず、部屋でダラダラ。
留年はなるべくしてなった結果だと言える。