契約彼氏-ニセ彼氏-
結局、瀬戸君たちはその席に、理沙と郁子は強引に私たちと相席してしまった。
私の隣に座った理沙は聞こえよがしに「カッコイイじゃん。カレシ?」と耳打ちする。
私は「いやー」と曖昧に笑うしかない。
その時、和樹が笑顔で言った。
「スキー場で会ってね、俺もトモも友達と来てて、同じホテルだったんだ」
私は顔から火が出るほど恥ずかしかった。
偽名を使ったことがアッサリばれてる。
一方、理沙と郁子は嬉しそうに話を続けた。
「トモはモテたんですよ。1年の時の文化祭なんてねー?」
「写真撮られてローカル誌に載ったんだよね?
『制服の似合う女子高生』って」
2人は無邪気な笑顔で私の化けの皮を剥いでいく。
私は居たたまれない気持ちになって顔を伏せていた。
やがて恐る恐る視線を上げると、和樹は先ほどと変わらない顔で相槌を打っている。
そうか。
この人はホストなんだ。
私が早紀でも朋美でも関係ないんだ。
ただ、お金をくれればウソ恋を売る……。