契約彼氏-ニセ彼氏-
さっきまで浮き立っていた心が急にかげり始める。
その時、私はフと誰かの視線を感じた。
瀬戸君―?
入り口に近い席に座り、瀬戸君がこちらを見ている。
なぜか怒っているみたいだ。硬い表情で睨んでいる。
私はどうしたらいいのか分からなくなって、目を泳がせる。
瀬戸君……変わってない。
ちょっと大人っぽくなったけれど、少年みたいな顔、サラサラした髪、トレードマークのメガネ、何もかもあの頃のままだ。
私は瀬戸君とのファーストキスを思い出して、胸が苦しくなる。