契約彼氏-ニセ彼氏-
「事故のこと聞いた時、あたしマジ、ショックでぇ、泣いちゃった。トモ、カワイソ過ぎるって」
不意に理沙の声が耳に飛び込んできた。
理沙と郁子は和樹を相手に夢中で私の過去を話している。
ダメ……!
その話は止めて……!
「病院行ったけど面会できないし、退院したら転校でしょう。噂じゃスゴい体になったって、チョー心配したんだよ」
やめてよ、お願い、その話はしないで!
私は時間を見ようとバッグの中のケータイを探す。
そのとき大変なことに気付いた。
ホテルの鍵が、ない!
ゴソゴソ探してみたけど、やっぱりない。
どこかへ落としてきたんだ。
蒼白になっている私に「なに?」と和樹が視線を送る。
「いや、ちょっと……お手洗い」
私は立ち上がると、よろけるように杖を片手に飛び出した。