契約彼氏-ニセ彼氏-

フロントに行ってみる。

もしかすると親切な誰かが拾って届けてくれたかも知れない。

先ほどの男性スタッフに聞くと「お待ちください」とキーケースを調べてくれる。

奥にいる他のスタッフにも聞いてくれたけど届けはなかった。

あとは……あのソファだ、和樹が来るまで座っていた。

歩き出した瞬間、私は「あっ!」と声をあげた。

視界に天井のシャンデリアが飛び込んでくる。

私は大理石の床に激しく体を打ちつけていた。

皆の視線が集中する。

フレアのスカートがめくれ上がって太ももが丸見えだ。

ミュールが片方脱げて転がっている。 

私は泣きたくなった。

無理してミュールなんか履いて来なきゃ良かった。

早く立ち上がらなきゃ。……杖!
そうだ、杖は?

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