病人鬼ごっこ 〜taltnt達の運命〜
第一章    開幕

今日も倒れた人がいる。私と同じ部屋の人だ。監視官によって特別治療室に連れてされる。少し意識があるその人は私を見て
「助けて」
て言っている。でも無理だ。助けられない罪悪感に包まれる。でも手は動きつづける。怖いほど。私はいつも、いつも連れてかれる人々を見ていて心が死に慣れている気がして怖かった。私がこの病院に入ったのは喘息だからだ。でも身内がいない私達はお金が10パーセントのうち7パーセントしか払ってないから仕事をしなければいけない。でももう残りの3パーセントのお金はとっくに仕事で払ったはずだ。しかしまだ働かされる。理由は分かっていた。2045年に突入した今、辛い仕事をする人がどんどん減っていき、最後には、誰もいなくなった。そんな為に私、病人は頑張っている…。このころ想像もしなかった。実は本当の理由は違う事に。

第2章    特別な一週間

昼ごろ、いつもどうり釘を打っていた。私が病気が治って笑っているのを想像しながら仕事をしていた。
ビーーーーー!!と突然鳴り響くブザー。
なんだろう。監視官も不思議そうにいている。じゃあ審査員の指示ではない。じゃあ……
なんだろう。
『これから病人かくれんぼを始める。』
急に意味の分からない事が放送で流れ出した。男性の声だ。声だけだと、50代位だ。患者で頭が病気の人の仕業だと思っていた。しかし。急に沢山の黒いスーツの人間が……いや、あれはロボットだ。なんだか分からないが、これがいたずらや間違えでは無い事が分かった。『これから、病人にはかくれんぼをしてもらう。見つかれば死だ。このロボットの奴らに見つからないようにしろ。見つかれば、すぐに射殺だ。今から30分で隠れろ。逃げようとなんて思うな。ドアやまどはどこも開いてない。一週間見つからなければ、生き残った奴ら、全員になんでも病が治るクスリをやる。逃げ切れたらの話しだが。』
といって笑った。
『じゃあ始めだ。』
またブザーが鳴った。静かになる仕事場、そこへ監視官が
「はいはい‼仕事しろ‼‼」
なんだ。やっぱりデマか。私達は諦めて手を動かそうとした時、
『パンッ!‼』
銃の音がした。倒れる監視官。えっ?私はなにがなんだか分からなかった。血が溢れ出している。ロボットが動き出した。
《早く隠れろ。殺すぞ。》
えっ!また唖然。もしかしてデマじゃないの⁉もしかたら…
…一人が走り出した。それに続いてみんなも、わたしも無我夢中で逃げた。すぐに思い付いたのは、ある倉庫だ。私はそこへ走った。走ったが、すぐに疲れた。ずっと走って無かったからだろう。でも走った。息が切れても、倒れそうになっても、およそ2キロ位、全力で走ったのでクタクタだった。私にこんな力があったとは…。やっと、何とか着いた。倉庫に入ると、そのまま座り込んだ。すごく、疲れた。私はそのまま深い眠りに落ちて行った。
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