あたたかい雪
特に重たい物を動かすわけではない。


作業はすぐに終わり一息吐くと、不意に寒さが身に堪えはじめた。


考えてみれば当然だった。


これだけ雪が降るほど、今日は寒いのだ。


美穂はエアコンのスイッチを入れてから移動させた椅子に腰掛け、ようやく珈琲に口をつけようとする。


しかしマグカップを口元へ運んでいる途中で、不意にインターホンが鳴った。


「何よ、もう……」


独りごちてマグカップを置くと、美穂は眉根を寄せ立ち上がった。


彼にしては早すぎるし、宅配か何かだろう。
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