あたたかい雪
「こっちは、早朝から雪が降りそうだって聞いたんだ。昨日の夜、天気予報で」


その雪だるま――手の平にちょこんと座したまま微動だにせず、なぜか正面を昌彦の方に向けている――に注目している美穂を他所に、昌彦は続けた。


「だから本当は夜のつもりだったけど、どうせなら綺麗な雪が見える間にと思って、それで朝一で出てきたんだ」


視線を昌彦の顔に戻し、美穂は首をかしげた。


何を言っているのかは分からない。


しかしその言い方から、さっきまでの態度とは裏腹に、何やらロマンチックなことを考えてることが窺える。
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