はちみつれもん

自己紹介をされたから、気になってたことを聞いてみた。


「よろしくね。ねぇ、1つきいていい?」


いいよ、と言ってくれたから。

「なんであたしの名前、知ってたの?」


彼は“あー、”って考えるように言ってから、
「秘密。」と笑った。


「まぁ、そのうち教えてやるよ。」


その言い方が、どうしようもなく懐かしくて
少し胸の奥のほうがチクンとした。
でも、なんにもなかったように繕って話を続けた。



「えー、おしえてよ。気になるから、」


あたしの言葉に、楽しそうに笑う。
その表情はまるで、オモチャを見つけたこどもみたい。



「よし、まだチャイムなってないけど始めさせてくれ!」

教室に来ていた先生が、前置きの挨拶を始める。そのまま多分自己紹介に入るんだろうな。



「…じゃあ、当てて。なんで俺がそんなこと知ってるか。」

悪戯っぽく持ちかけてくる。


「SHRが終わるまでに当てろよな。できなかったら、罰ゲーム。」


「なっ、そんな…」
無茶苦茶な。
全く思い当たらないのに。
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