はちみつれもん
ポケットのなかを探ると、出てきたのはキャンディだけ。
「ごめん、これしかないや。」
パインの形をした、大好きなキャンディ。
「さんきゅ!」
出した手ごとキャンディを掴まれて、引っ張られた。
座りこんだままだったから、隼人の方に倒れこみそうになる。
だから、引っ張られた力を使って そのまま立ち上がった。
「あっち、すわろーよ。」
指さした先には、階段。
“えー、”
意味もなく反対しようと思ったけど、手を掴まれたままだから従うしかなかった。
隼人が下から3段めで、あたしがいちばん下。
せめて向かい合わせがよかったけど、相変わらず手が離してもらえないから隣り合わせ。