注文の出来ない喫茶店【短編】
相変わらず、客はいない
それでも店を閉めることなく
細々とではあるが、営業していた
実は、少しずつ
常連と呼べるような客も増えつつあった
店の扉が開く
扉の方に目を向けると
手にスーパーの袋を提げた
主婦らしき女性が立っていた
女性は
「この店は注文出来ないって聞いたんですけど…」
「誰がそんな事を?ちゃんとお伺いしますよ」
笑みを浮かべながら答える
「そうなんですか…」
ほんの少しがっかりした顔で
女性はカウンター席に座ると
アイスコーヒーを頼んだ
私は迷わず、ミルクパンでミルクを温め
そして、紅茶を煮だした
少し、疲れた感じの彼女に
甘いロイヤルミルクティを
飲ませてあげたかった
カップを差し出すと
女性は
「やはり、注文は出来ないんですね」
と、笑いながら言うと
猫舌なのだろうか
ふぅ
ふぅ
と、言いながら
ゆっくりと飲み始めた
そして
「美味しい紅茶ですね。どこの茶葉なのかしら」
女性の問いかけに
私は、
「企業秘密です」
と答えながら
どこにでも売っている
有名なメーカーの
ティーパックを
そっと、隠すようにダストボックスへと
投げ入れた
どこかであの若者が
「おっさん、ナイス!」
と言って、親指を立ててくれた
気がした
注文の出来ない喫茶店
終
それでも店を閉めることなく
細々とではあるが、営業していた
実は、少しずつ
常連と呼べるような客も増えつつあった
店の扉が開く
扉の方に目を向けると
手にスーパーの袋を提げた
主婦らしき女性が立っていた
女性は
「この店は注文出来ないって聞いたんですけど…」
「誰がそんな事を?ちゃんとお伺いしますよ」
笑みを浮かべながら答える
「そうなんですか…」
ほんの少しがっかりした顔で
女性はカウンター席に座ると
アイスコーヒーを頼んだ
私は迷わず、ミルクパンでミルクを温め
そして、紅茶を煮だした
少し、疲れた感じの彼女に
甘いロイヤルミルクティを
飲ませてあげたかった
カップを差し出すと
女性は
「やはり、注文は出来ないんですね」
と、笑いながら言うと
猫舌なのだろうか
ふぅ
ふぅ
と、言いながら
ゆっくりと飲み始めた
そして
「美味しい紅茶ですね。どこの茶葉なのかしら」
女性の問いかけに
私は、
「企業秘密です」
と答えながら
どこにでも売っている
有名なメーカーの
ティーパックを
そっと、隠すようにダストボックスへと
投げ入れた
どこかであの若者が
「おっさん、ナイス!」
と言って、親指を立ててくれた
気がした
注文の出来ない喫茶店
終


