たった一つのお願い


少しでも彼女に俺を見て欲しくて。


少しでも、五分でも一緒に居たい。




そんな女性は初めてなんだ。



こんな乙女みたいな思考、誰にも言えないがきっと周りにはバレているのだろう。…何故かは分からないが。



しかしそうでなければ、看護師達があんなにこの俺をからかってきたり、祐司はここまで俺に世話を焼いてくれないだろう。



最初は彼女と話すだけで良かった。


次は彼女に想いを伝えるだけで良かった。


さらに次は彼女の親に認めてもらうだけ。


そしてさらに次は―――…




「どんどん欲深くなっている。可笑しいと思うなら、笑え」




俺も自分でそう思うから。笑われても仕方ない。別に傷付くといった可愛い精神は持ち合わせていない。事実を笑われるのにどうして傷付く?というのが俺の考えだ。




すると祐司はゆっくりと意外な言葉を語り出した。
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