海賊王子ヒースコート
「ああ。ギルバートの野郎、カワイイお嬢様との結婚で浮かれてやがる。狙うなら今だぜ?」
傷の男は追加で置かれたビールのジョッキを掴み、豪快に飲み下した。
「その情報、船長には言ったのか?」
第三者、ワインを優雅に飲みながら本を読んでいた青年が話に参加してきた。
「まだ言ってねぇ。ついさっき知ったことだからな。あれ?そういや船長、どこ行った?」
「さあ?わからない。ヒースコートは知ってる?」
穏やかな声で尋ねてきた癖っ毛の青年に、ヒースコートは首を横に振りながら読みかけの本を閉じた。
「いや…俺も知らない」