荒れ球リリーバー



改めて誠一郎への想いを実感した私の瞳に映るのは、一対三と標示された試合終了後のスコアボード。

セイが六回表で降板した後、中継ぎが犠打で一点を許すも見事痺れる試合をホームチームが制した。

ヒーローインタビューの準備に勤しむスタッフ達とお立ち台に移動するよう促される誠一郎と四番打者の姿が、画面越しに交互に映し出される。

『球場にお集まりのファンの皆さん!
大変お待たせ致しました!
本日のヒーローは、バッテリーのお二人!
貴重な追加点を挙げました○○選手とロングリリーフで好投しました高岡投手です!』

怒涛の歓声に包まれる中、四番打者と共にお立ち台に上る照れ笑いを浮かべた誠一郎。

「誠一郎カワイイよね~」とその笑顔に対して居酒屋内の女性ファンの黄色い声が聞こえる。

その言葉に少しの嫉妬を覚えつつ、セイの笑顔を見てドキリと鼓動の高鳴りを感じ思わず頬が緩むのを抑え切れない。

締まらない表情を隠し切れず誠一郎に見惚れていると、四番打者からインタビューが始まった。
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