荒れ球リリーバー
そろそろ、四番打者のインタビュー終了間近と言う頃。

『高岡投手の登板直後、お二人で会話されていましたが、どう言った内容を交わされたのでしょう?』

アナウンサーから、ベテラン捕手でもある彼に
ぶつけられる一つの質問。

アナウンサーの言葉に、登板直後に笑顔で話し掛ける捕手と驚きの表情と笑顔を見せて頷いた誠一郎の姿を思い出す。

私も秘かに気になっていた会話の内容。

ベテラン捕手に見入って答えを待つと、彼は小さな笑みを浮かべ答えた。

『ヒミツです。なっ?』

そう言って、彼は隣に立つ会話の内容を知る
唯一の人物に同意を求めた。

『ヒミツっす』と小さく頷き捕手の答えに同意した誠一郎は、白い歯を覗かせ照れ笑いする。

会話の内容が分からず終いで少々ガッカリな私を他所に、やがてベテラン捕手のインタビューは終了して誠一郎のインタビューとなった。
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