荒れ球リリーバー
昨夜は、セイに食事を作り、情事に及んでしまって、結局家事全般を行った。

そんな私を華子ちゃんは、こう名付けた。

「志乃さんって、性欲処理機能付きのオカンって感じですよね~」

責めて、都合のイイ女ぐらいにして頂きたいものだ。

「華子ちゃんって、可愛い顔して平気で毒吐くよね」

まだ学生が来ていない早朝の製菓衛生師科実習室。

授業に備えてホワイトボードにレシピを書き出す華子ちゃんに、恨めしげな視線を送る。

今日の午前は、栄養学の授業がない。

そんな時、私は実習のアシスタントにつく。

普段は白衣だけど、今日はコックコートにコック帽。

オーブンの温度設定をする私に、華子ちゃんは尋ねた。

「志乃さんって、どうして高岡さんが好きなんですか?イケメンで高収入だけど、女癖悪過ぎでしょ」

思い出すのは、夕焼け空と白球。

相変わらずストレートな華子ちゃんの言葉に苦笑いしながら、それでも好きな理由を私は話し出した。
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