荒れ球リリーバー





誠一郎の兄達は、少年野球に所属していて、その影響で誠一郎も幼い頃から野球が好きだった。

あれは、五歳の時。

『ぼく、おおきくなったら、ぜったいプロやきゅうせんしゅになるんだ。それでね……』

あいつは、無邪気な笑顔で言ったんだ。

『しのちゃんとケッコンするんだ!』

『ほんと?やくそくだよ?』

『うん!やくそく!』



「小さい時の約束、今でも信じてるんですか?志乃さんって、純情ですね~」

場所と時間は移り変わり、終業後に訪れた居酒屋。

酎ハイ片手に冷やかす華子ちゃんの言葉を否定出来ないのは、その通りだから。


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