荒れ球リリーバー
すると、テーブルを挟み私の目の前に座る須永先生を睨み付け、華子ちゃんは鋭い声色で言葉を投げ付ける。

「そんなわけで、志乃さんはドームへ連れて行きますから」

ドームって…。華子ちゃん…。まさか…。

ドームと言うワードが耳に届いて、思わず発信元である後輩を見つめる。

「俺はフラれたんで、どうぞご自由に」と須永先生は、明らかに敵意の籠る視線を向ける華子ちゃんへ、小さく頷き答えた。



「ドームへ行くって、一体どういうつもり!?」

華子ちゃんに引きずられるように出た店の外。

まだまだ人通りの多い夜の街中にも関わらず、彼女の手を振り払い私は声を荒らげた。

「高岡さんに会いに行くんですよ!」と、さも当然のように返って来た答え。

やっぱり。華子ちゃん、野球中継見てたんだ。

「私、行かないから」と視線を合わせる事もなく、素っ気なく言葉を返した。

「どうしてですか?」

「私ね、セイの事もう信用出来ないの。
どうせ、また浮気されるのが目に見えてるもん」

咄嗟に口から突いて出たのは、半分本音で半分建前な自分を守る為の言い訳。
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