荒れ球リリーバー
瞳に映るのは、空を切る打者のバット。

耳に響くのは。

『ストライク・スリー!』

右手拳を突き上げてコールする。

『アウト!!』

審判の声。

空振り三振。

ゲームセット。

抑えて勝った誠一郎は、駆け寄ってきたチームメイトと一緒に笑っていた。



『志乃!』

試合終了後の帰り道。

小指を絡み付けて約束を交わした日のような夕焼け空の下で、泥だらけのユニホーム姿の誠一郎に呼び止められる。

『応援、ありがとな?』

照れて少し赤い顔して話す誠一郎に、釣られて照れながら。

『うん。おめでとう』と頷いた。

『あのさ、これ』

誠一郎がズボンのポケットから取り出したのは、砂で汚れた軟式野球ボール。

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