荒れ球リリーバー
月末の通勤時。

いつも行くコンビニに足を踏み入れる。

私の向かった先は、本・雑誌のコーナー。

ラックから取り上げるのは、あの浮わついた男常連の週刊誌ではないし、呟く言葉も奴への恨み節ではない。

「今月の表紙も可愛い」と言う小さな声と共に手にしたのは、ファッション誌。

発売日になると、朝イチで通勤途中に購入するのが恒例化している。





逸る気持ちを抑えて素早く白衣を羽織り授業の準備を一応しながら、やはりコンビニで買った抹茶ラテを飲んで開いたのは先程のファッション誌。

只今2月末。

間も無く訪れる春に向かい、パステルカラーのニットやスプリングコートが掲載されたページをにこやかに見ていると。

「あれ?今日は、志乃さんが荒れてない」

真っ白なコックコートに身を包み、どす黒い毒舌を吐き出す華子ちゃんが登場した。
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