【完】I LOVE YOUが言えるまで
車の運転席で携帯を出し、メールを打とうとした時、窓ガラスを叩く音がした
キャンプの前日から、美緒の部屋には真理子と涼子が泊まり込んでいた。
キャンプのためにおにぎりを作るのだ。
真理子と涼子が気持ち良さそうに眠っていた朝五時過ぎ、美緒はバルコニーに居た。
夜中の一時過ぎまで三人は呑んでいて、真理子と涼子は寝てしまったが、美緒は眠れなかった…。
ここのところ、永嶋との仲は上手く行っているが、やはりあの日の永嶋の姿が頭から離れない…。
真理子と涼子はさりげなく美緒に探りを入れて来ていたが、美緒は何も話さない…。
『やっぱり気になるな…。
永嶋さんは、一体何を抱えているんだろう』
一人になると、ついつい考えてしまって、眠れなくなってしまう美緒…。
『永嶋さん…、思えば昔にもあったね。永嶋さんが永嶋さんじゃなかったことが…』
美緒は思い出した…。
昔の永嶋を…。