【完】I LOVE YOUが言えるまで
そんな独り言を言いながら、美緒は一人ビールを呑む。
店の中が込み始め、野上が話しかけてくることもなく、美緒の周りは重い空気が漂う。
『真理子はデートで、涼子は…、チョコ配りか…。
皆さん忙しいこと、まだ仕事してれば良かったよ…』
「となりいいかな」
カウンターに座っていた美緒の隣に誰かが座った。
「一人で呑んでるなんて寂しくないですか」
そう言われて男の顔を見た美緒。
『あっ、あんた、高倉瑠希夜、何でここに』
「おっ、瑠希夜、早かったな」
と高倉に声を掛けたのは野上だった。
『考兄、この人知ってんの!』
「お前ら知り合いみたいだな、紹介する手間省けた。
美緒に紹介しようと思ってた俺の親友の弟だ」
一瞬、美緒の頭の中は真っ白になった。