カラフル

朝香はあたしの問いかけに返事もせず、ジッとあたしの顔を睨み続ける。

「結局、朝香もあの子たちと同じなのか」と思ったあたしは、あごを上げて見下すような目で睨み返した。

「……人のことを疑う時間があるなら、さっさと告白しなさいよ。バスケ部の練習ばかりコソコソ眺めて、馬っ鹿みたい!」

言い返す中で、あたしは彼女がショックを受けるような台詞を、わざと口にした。

馬鹿だとは思っていなかった。

だけど、両思いのくせにウジウジ悩んでばかりで、その上、あたしのことを疑うなんて有り得ないと思ったからだ。

真っ赤な顔をして、歯を食いしばる彼女。

傷つけたとわかってはいたけれど、謝る気持ちなんかなかった。

それ以上に、あたしも傷ついているから。

信じていた人に裏切られるのは、何度、経験したって、慣れたりはしない。
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