カラフル

朝香はそう言った。

人の話を聞こうともせずに、勝手に決めつけてそう言ったんだ。

「ちょっと待って。……あたしのこと疑ってんの?」

やっぱり友達なんて作るものじゃないな、と思った。

朝香と郁なら信じられる気がしたの。

入学当時、モデルをしているということで、クラスの女子は興味本位で話しかけてくるだけだった。

「楽しい?」とか「~ってどんな人?」とか聞いてくるだけで、満足したらそばから離れていく。

だけど、朝香は違った。

最初はモデルの仕事の話を聞いてきたけど、その後も「一緒に帰ろう」とか「ずっと3人で仲良くしていけたらいいね」とか言ってくれた。

裏切られるのが恐くて、親友とまでは思いたくなかった。

でも、彼女たちはあたしのことを「親友」と言ってくれている。

だから、一緒にいたのに。

朝香はあの子たちとは違うと思っていたのに。
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