カラフル
「もう帰るわ。……んと、可愛くねぇ」
そっぽを向くあたしに嫌気が差したのか、洋介はくるりと体の向きを変えて、遠ざかっていく。
青い傘が少しずつ、小さくなる。
離れていく彼の後姿を眺めるあたしは、素直になれない自分が憎かった。
こんなに好きなのに、いつも可愛くない態度ばかり取っていて。
顔を合わせれば、喧嘩になってしまう。
本当は、可愛く見られたいの。
笑顔で接したい。
オシャレをしたりメイクをしても、素直に「好き」を出していなければ、何の意味もないんだ。