オオカミ少年。

放課後、委員会に行ってしまった中田を待っているところで。中田が帰ってきたってことは少し考えればすぐに分かった。


「…軽くショックなんですけど。」

落ち込んでる中田を見ると何だか申し訳なくなった。


「つーか、何それ。」

あたしの携帯の画面を指差して、不思議そうな顔であたしを見る。

不思議に思うのは当たり前。

画面にはイケメンがいて、低音ボイスで【俺のこと好きになってよ。】なんて意味分かんないよね。


「……あたしの彼氏?」

うん、間違いではない。

「…………えっ、うそ!」

間違いではないんだけど、携帯の画面にいるこの人にそれだけの反応を示せる中田が凄いよ。


「俺コイツに負けたのかよ!」

画面の中で爽やかに笑ってる彼を指差して、あからさまにショックを受けてる。

「アプリと張り合わないでよ。」

自分で言うのもなんだけど、ほんとに中田ってあたしのこと好きなんだなぁ。

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