オオカミ少年。

全部初めて。


夏休みが間近に迫った7月のある日。

焼けるような日差しの中、あたしと中田は暑苦しいのに手を繋いで歩いていた。


「あちー。」

「あたしだって暑い。」

「平山は夏生まれじゃん。」

「そんなの関係ないよ。」


今日はあたしの誕生日。

学校が終わったあと、中田の家に向かってる。


「俺ケーキ買ったよ。」

「うそっ、やった。」


教室を出る前にクラスメートに散々いじられたから、あたしも中田も少し疲れ気味で。

でもこうして家に呼んで祝ってくれるのはほんとに嬉しい。


「そういえばさ、さっき友達から何か貰ってたよね。何だったの?」

「あぁ、まだ開けてないから分かんねぇ。平山と一緒に開けろってさ。」

「そっか。ふーん…」

あのクラスメートのことだ、きっと期待するようなものじゃないと思う。

小さな可愛らしいラッピングに包まれたそれは、中身が分からないように厳重に包まれている。

……怪しいなぁ。


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