【BL】腐男子な俺の恋フラグ
やたらと心臓がうるさい。なんか変だ。
「…昨日は別件で腹を立てて槙に八つ当たりした。余裕がなかったんだ」
知ってる。でもそれは俺のために、律が写真の犯人を突き止めようとしてくれてたんだろ?
そう言えば良いのに。そう言ってくれたら分かるのに。
でも、律は一切その事に関しては話さないし、言い訳もしないんだ。
だから、何故かは俺も聞けない。…いつか分かる気がするから。その時まで焦らずに待っていようと思う。
「…悪かった」
まさかの律が謝るなんて。謝る必要なんてないのに。
俺は驚きのあまり何も言えない。慣れない事ばかり言われて、心臓の音もずっと鳴りやんでくれない。
「槙」
だから、俺の頭に伸ばされた手をとっさに払ってしまって。
いつもならこんな事絶対しないのに。いつもなら俺の方が律に抱き付いたりするのに。
今はただ、自分の中がグルグルしてて、律に触れられるとそれがバレてしまいそうだったから。
「…ごめん、俺、今日は疲れたから寝るよ。おやすみ、律」
顔もまともに見る事が出来ないまま、俺は布団に潜り込んだ。